精神障害者の最新治療 病院から地域へ

精神障害者の最新治療〜病院から地域へ〜

平成26年6月、厚生労働省は、精神障害者の地域移行を進めていくという方針を発表しました。
この背景には、精神障害者の長期入院という問題があります。
一般病床の入院期間が半月程度であることに対して、精神病床の入院期間は半年から1年と、かなり長いという特徴があります。
日本の精神科病院の数は海外と比較して異常に多く、地域移行に関しても消極的だという声も聞かれます。
理由として、精神障害者に対する差別的な意識や、受け入れ先のグループホーム等の設立に対する住民の反対といった問題があります。
つまり、精神障害者に関するイメージは未だに悪く、国が地域移行を進めようとしても、地域住民の大きな反対に遭う可能性が高いのです。
これを変えていくには、国民の精神障害者に対する正しい理解を進めてくことが必要だと言われています。

 

地域移行を進めていくにあたって、国は診療報酬の引き上げを行いました。
この動きによって、精神科地域移行支援や退院支援、精神科訪問看護の診療報酬の体系を変革し、精神障害者が病院から地域で暮らせるように、診療報酬という面から充実を図るようになりしまた。

 

厚生労働省がこうした働きを行っていることの理由の一つに、ノーマライゼーションの理念を普及させたいという意向があるようです。
特に、精神障害者のノーマライゼーションにおいては、日本は他の先進国と比較して遅れを取っているという現状があります。
1950年まで、精神障害者の私宅監置を取っていた日本にとって、障害のある人もそうでない人も、地域で平等に暮らしていくということについては、頭では理解していても抵抗が拭えないというのが実際です。
しかし、いつまでも精神障害者を病院に閉じ込めておくことは、国際的にも問題視されており、グローバル化が進む中で日本の精神科医療が今後どのように変わっていくかが、世界から注目を集めています。

 

精神科救急医療を拡充し、短期間で患者を退院できる状態まで回復させるという救急病棟の新設も目立ってきました。
このような状況の中で、精神障害者に提供される医療や看護的アプローチの質に関しても、その変革が求められているのです。